ルーマニアと日本の関係|20世紀初頭から外交関係。戦争や政変を経た文化面・経済面の「戦略的パートナー」

東欧に位置するルーマニアは、近年、日本との関係を着実に深化させてきた。

距離にしておよそ9000キロを隔てたこの両国は、20世紀初頭から外交関係を築き、戦争や政変を経ながらも現在では「戦略的パートナー」として歩みを共にしている。

その歩みは単なる友好を超え、経済・文化・教育の各分野における具体的かつ相互的な成果へとつながっている。

戦争を越えて結ばれた外交的つながり

ルーマニアと日本が最初に外交関係を樹立したのは1917年のこと。

欧州大戦の混乱のさなか、両国は平和的な意思を示す形で国交を開始した。

しかし、その後の歴史は平坦ではなかった。

第二次世界大戦期には、両国ともに枢軸陣営に属し、一時的な同盟関係にあったが、戦後の東西冷戦とルーマニアの共産化により国交は一時的に断絶される。

 

だが1959年には関係が再開され、1989年のチャウシェスク政権崩壊と民主化の進展を背景に、両国の距離は急速に縮まることとなる。

そして2013年には日ルーマニア間で「戦略的パートナーシップ」が宣言され、2023年にはその関係が再確認される形で「強化された戦略的パートナー関係」が正式に発表された。

これは東欧諸国の中でも日本が特に重視する国のひとつとして、ルーマニアが位置づけられている証左でもある。

経済とビジネスの緊密化

両国の経済関係は年々拡大を続けている。

2023年の貿易総額はおよそ12.7億米ドルに達し、ルーマニアから日本への輸出(自動車部品や木材製品、IT関連機器など)は約8.2億ドル、日本からの輸入(機械製品、電子部品、医薬品など)は約4.6億ドルとなっており、ルーマニア側の黒字という構造である。

 

投資面でも日本企業の進出は顕著であり、特に自動車産業、IT産業、農業加工、再生可能エネルギー分野でのプロジェクトが活発だ。

ブラショフやクルジュ=ナポカといった内陸部の工業地帯、そして首都ブカレスト周辺には、既に多くの日本企業が拠点を構えており、現地雇用の創出にも貢献している。

 

また、2023年には日本政策投資銀行(JBIC)とルーマニア財務省、輸出入銀行との間で投資促進の覚書が結ばれ、今後さらに日系企業の進出や資金調達の支援が強化されることが期待されている。

特にインフラ整備やグリーンエネルギー関連のプロジェクトにおいて、日本の技術と資金が果たす役割は小さくない。

人と人とのつながり──文化と教育の交流

経済だけでなく、文化・教育面での交流も長年にわたって地道に積み重ねられてきた。

ブカレストには1979年に開校した「日本人学校」が存在し、日本人駐在員家庭の子弟に教育を提供しているほか、現地住民との交流の場としても機能している。

 

また、大学間交流も盛んで、東京外国語大学とブカレスト大学の協定をはじめ、両国間では学生交換や共同研究が積極的に行われている。

ルーマニアの学生にとって、日本語や日本文化への関心は年々高まっており、アニメやJ-POPをきっかけに日本語学習を始める若者も多い。

日本でも「ドラキュラ伝説」やトランシルヴァニアの神秘的な文化を通して、ルーマニアに関心を持つ人が増えている。

 

文化事業においても、両国間では定期的に展覧会やコンサート、日本映画祭などが開催されており、民間レベルでの親善活動も盛んだ。

日本の伝統文化である書道や茶道の体験会がルーマニア国内で開かれる一方、ルーマニアの民族舞踊や音楽イベントが日本で紹介されることもあり、双方向の交流が実現している。

渡航と安全──ルーマニアを訪れる日本人へ

日本とルーマニアは、観光やビジネスにおける往来も活発である。

日本人は90日以内の短期滞在(観光・商用)であればビザ不要でルーマニアに入国可能だ。

現在、直行便は存在しないが、イスタンブールやドバイなどを経由することで、比較的スムーズにアクセスできる。

 

治安は概ね安定しているが、都市部ではスリや置き引きなど軽犯罪が発生することがあるため注意が必要である。

また、医療インフラは首都ブカレストや大都市では整っているものの、地方では設備やサービスが限定されるため、旅行前には医療保険への加入が望ましい。

気候は大陸性で冬季は非常に寒くなるため、季節に応じた準備も重要だ。

 

なお、2025年にはルーマニアはEUの「シェンゲン協定」への段階的参加を開始しており、今後は出入国手続きの簡素化が期待されている。

将来的にはより自由で快適な渡航環境が整備されるだろう。

未来志向のパートナーシップへ

日本とルーマニアの関係は、過去の歴史を乗り越え、経済・文化・人的交流を軸に深化を続けている。

EUとNATOという国際枠組みに属するルーマニアは、東欧における戦略的要地として、また新たな投資先・連携先として、日本にとって重要なパートナーである。

 

その一方で、文化的共感や人間的つながりといった「柔らかい力」も関係の土台を支えている。

相手国への理解を深め、相互尊重に基づく協力を進めることが、両国の将来にとって不可欠である。

次なる100年に向け、両国の「戦略的パートナーシップ」は、さらに多層的で実質的な関係へと進化することだろう。

 

 

このように、外交・経済・文化の3側面から丁寧に関係を築いてきた日ルーマニア関係は、まさに「橋をかける」ような相互理解と連携のモデルケースと言えるだろう。

 

 

ルーマニアの魅力とガイド|ラテン系文化が色濃く残る現代と歴史が交錯する東欧の真ん中。古代文明の面影とドラキュラ伝説