チリの地形は、北から南にかけて約4,300kmに及ぶ、世界で最も細長い国の一つである。
その極端な縦の構造は、熱帯砂漠から氷河地帯、太平洋の海岸線からアンデス山脈の高地まで、驚くほど多様な自然環境を国内に包含している。
まさに“縦断すれば地球一周分”ともいえるような環境変化が、旅行者を常に新鮮な驚きと感動で満たす。
地形のバリエーションは観光資源にも直結しており、アウトドア派、歴史探訪派、リゾート派、文化体験派と、あらゆる観光スタイルに対応できる柔軟さを持つ。
加えて、治安や交通網の整備が比較的良好であることも、チリを南米の旅先として優秀な候補にしている要因の一つだ。
チリが誇る観光資源と自然遺産の魅力。砂漠とアンデスと孤島。南北4300㎞縦断で地球一周分の環境変化と多彩な絶景。

世界最古の乾燥地帯:アタカマ砂漠
チリ北部に広がるアタカマ砂漠は、地球上でもっとも乾燥した場所として知られている。
年間降水量はほぼゼロに近く、一部の地域では数百年にわたり雨が降っていない記録もある。
その極限的な乾燥環境は、まるで火星のような風景をつくり出しており、実際にNASAが火星探査機の試験地として活用しているほどである。
しかし、アタカマの魅力は単なる砂漠では終わらない。
塩原、間欠泉、月面のような渓谷、澄んだ空に広がる星空と、宇宙規模のスケール感を持った自然体験ができる。
サン・ペドロ・デ・アタカマという町は観光拠点として整備されており、近隣には星空観測ツアーや、標高4,000mを超える高地ラグーンへの日帰り旅行も人気だ。
神秘の孤島:イースター島のモアイ像
チリ領でありながら、南米本土から3,700kmも離れた太平洋上に浮かぶのがイースター島(現地名:ラパ・ヌイ)である。
モアイ像で知られるこの島は、チリでも最もユニークかつミステリアスな観光地であり、1995年にはユネスコ世界遺産に登録された。
島内には大小900体以上のモアイ像が点在し、それらを巡るだけでも1週間は必要だとされる。
高度な石工技術、謎に包まれた文明の興亡、そして自然と文化の融合がこの地には存在している。
アクセスのハードルは高いが、その分、訪れる価値は絶大である。
大自然の聖域:パタゴニアとトーレス・デル・パイネ国立公園
チリ南部パタゴニア地域に位置する「トーレス・デル・パイネ国立公園」は、世界中のバックパッカーや登山家、写真家の憧れの地である。
氷河、氷河湖、鋭利な花崗岩の峰々、風に揺れる草原、野生動物たちの楽園と、すべてが圧倒的なスケールで融合している。
公園内ではトレッキングルートが充実しており、数時間のライトウォークから1週間を要する本格縦走コースまで選択可能だ。
特に“Wトレック”と呼ばれるルートは人気が高く、世界中の自然愛好家にとって憧れのチャレンジとなっている。
加えて、気候変動の影響を間近で感じる場でもあり、自然環境の脆弱性への理解も深まる場所である。
世界遺産の街並み:バルパライソ
チリ中部に位置するバルパライソは、そのカラフルな家々と急斜面に広がる街並みで知られている。
2003年にユネスコ世界遺産に登録されたこの港町は、かつて太平洋交易の要所として栄え、現在ではアーティストと学生が集う文化都市として再評価されている。
迷路のような坂道、壁画アート(ムラリズモ)、歴史的ケーブルカー(アセンソール)など、歩くだけで絵になるスポットが満載だ。
海を臨むカフェやギャラリーが立ち並ぶこの街は、都市景観そのものが観光資源となっている稀有な例である。
星を掴む国:世界最高峰の天文台群
チリは、アタカマ砂漠を中心とした高地に多数の世界有数の天文台を持つ「星を見る国」でもある。
空気の乾燥度、光害の少なさ、大気の安定性という条件が揃っており、ALMA望遠鏡、パラナル天文台、ラ・シヤ天文台などが設置されている。
これらの施設は一般観光客にも限定公開されており、専門ガイド付きのツアーでは宇宙望遠鏡や観測機材を間近で見ることができる。
さらに夜間には、肉眼で天の川がくっきりと確認できる天体観測体験も提供され、宇宙への関心が一層深まる場所となっている。
その他の魅力:ワインと温泉、火山と湖
チリは世界有数のワイン生産国であり、サンティアゴ近郊のマイポ・バレーや、南部のコルチャグア・バレーには高品質なワイナリーが多数点在している。
テイスティングツアーやぶどう畑のピクニック、ワイン列車の旅など、ワインを軸とした“グルメツーリズム”も注目されている。
さらに、アンデス山脈の火山帯には数多くの温泉や湖が点在しており、自然と一体となった癒やしの空間を提供している。
ビジャリカ火山、プコン、ラ・ウロラ湖などは、リゾートとアウトドアが融合した人気スポットだ。
チリのトップページ:銅と星空の国、チリ──南米の細長き大地が秘める多様性と魅力、アタカマ砂漠からワイン・世界遺産と民主化。