南アフリカ共和国はアフリカ大陸最南端に位置し、高原と海岸、乾燥地帯と湿潤地が織りなす多様な自然環境が特徴だ。
ケープ半島のテーブルマウンテンやドラケンスバーグ山脈、豊かなサバンナと国立公園は生物多様性の宝庫である。
また、ウィットウォーターズランドやブッシュフェルト複合岩体には金やプラチナなど貴重な鉱物資源が眠る。
地理と資源が国家の個性と経済を形作る国である。

南アフリカ共和国の大自然
アフリカ最南端の国家の輪郭
南アフリカ共和国はアフリカ大陸の最南端に位置する国家である。
国土の総面積は約122万平方キロメートルであり、これは日本の約3.2倍に相当する規模だ。
北はナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、東はモザンビーク、エスワティニに接し、さらに内陸には世界でも珍しい“内包国”であるレソト王国を抱える。
南部は大西洋とインド洋の二つの海に囲まれ、ケープ・アグラスがその最南端として知られている。
この地理的条件は、気候、自然、植生、経済活動など多方面にわたり影響を及ぼしている。
たとえば、南アフリカはサバンナから砂漠、温帯雨林から地中海性気候までを含む多様な気候帯を持ち、それが多種多様な生態系を育んできた。
高原が支配する内陸地形
南アフリカの内陸部は「高原国家」と呼ばれるにふさわしい地形構成を持つ。
国土の大部分を占めるのがカールーと呼ばれる乾燥高原地帯であり、この地域は標高1000~2000メートルの広大な台地が続く。
これに対して海岸線は比較的低地であり、東岸ではドラケンスバーグ山脈が屏風のように聳え、海岸平野と内陸高原を分かつ。
特に東部のドラケンスバーグ山脈(ドラゴンの山という意味)は標高3000メートル近くに達する険しい地形で、南部アフリカ最高峰であるタバナントゥレンヤナ山(レソト領内)へと連なる。
ここは南アフリカの降水量が最も多く、重要な水源地でもある。
二つの大洋に接する海岸線
南アフリカの海岸線は約2,800キロメートルに及び、インド洋と大西洋という性質の異なる海に面している。
東海岸では暖流(モザンビーク海流)の影響で気候が温暖湿潤であり、サトウキビや果物などの農業が盛んだ。
一方、西海岸は寒流(ベンゲラ海流)の影響を受けて乾燥しており、砂漠的な景観が広がる。
このような対照的な自然環境が、海洋生物や気象パターンに劇的な変化をもたらしている。
南端のケープ半島にはテーブルマウンテンをはじめとする特徴的な地形が並び、植生の多様性を誇るケープ植物区系(Cape Floral Region)はユネスコ世界自然遺産にも登録されている。
ここは地球上で最も植物多様性が高い地域のひとつであり、数千種の固有植物が存在するとされている。
地質・鉱物資源とその分布
南アフリカは地質学的にも非常に興味深い土地である。
古代の地層が広く分布し、プレカンブリア時代の岩盤が露出している地域も多い。
これにより、金、プラチナ、ダイヤモンドなど世界有数の鉱物資源が産出されてきた。
特にウィットウォーターズランド(ヨハネスブルグ周辺)は、20世紀初頭にゴールドラッシュの舞台となり、南アフリカの経済発展に決定的な役割を果たした。
また北部にはブッシュフェルト複合岩体が存在し、ここはプラチナやバナジウム、クロムといった希少金属の世界最大級の鉱床が集中する。
こうした地質的恩恵が南アフリカを鉱業国家たらしめている。
生物多様性と自然保護区
南アフリカは世界の「メガ・バイオダイバーシティ国家」の一つとしても知られており、動植物の種類は非常に豊富である。
ケープ植物区系、ドラケンスバーグ山系、クルーガー国立公園を含む低地サバンナなど、それぞれ異なる生態系が広がっている。
特に哺乳類の多様性は目を見張るものがあり、「ビッグファイブ」(ライオン、ヒョウ、サイ、ゾウ、水牛)を野生で観察できる地域は世界的にも限られるが、南アフリカでは複数の国立公園で体験が可能である。
こうした自然資源は観光産業にも大きな恩恵をもたらしている。
地理が語る国のアイデンティティ
このように、南アフリカの地理は単なる風景の構成要素にとどまらず、その多様性と複雑さが国の成り立ちや経済、文化、人々の暮らしに深く根ざしている。
高原と海岸、乾燥地帯と湿潤地、温暖流と寒流、山岳と平野、さらには金脈と緑の大地。
そのすべてが南アフリカのダイナミックな個性を形作っているのである。